パーム油バイオマス燃料の問題は舞鶴・福知山だけではなく日本全体、世界全体で考えなければならない世界共通の課題です。
舞鶴だけの視点では見えてこない事も多いと私たちは考えました。
そこで日本や世界の環境の現場で活動する方々に御願いして、文章を御願いしています。
1回目は舞鶴に何度も足を運んで私たちの活動をサポートしてくださる、 ウータン・森と生活を考える会 ゆっこ さんに御願いしました。
先日行われた生物多様性の国際会議の場で、NGOからのニュースレターとして発信した記事の和訳を寄せてくださいました。
大学院に通いながら環境問題解決のために世界を飛び回る素敵な女性です。
生物多様性の国際会議のニュースレター
Post2020(案)では、生物多様性への悪影響を避けるために、気候変動対策への貢献が重要視されている。そのための自然エネルギーへの転換は問題をはらんでおり、生物多様性に大きな負荷を与えるエネルギープロジェクトもある。パーム油発電はその一つの例である。
良く知られているように,パーム油プランテーション モノカルチャーは広大な土地を必要とする。マレーシアやインドネシアといった生産国では、成熟した熱帯林の破壊によって重大な生態系破壊が引き起こされており、森林火災を引き起こす土地の乾燥化、野生生物の生息地消失、エコシステムの破壊が生じている。
泥炭地からの温室効果ガスの大量排出や人権問題も国際的に深刻な問題である。そのパーム油バイオマス燃料が今日本で問題視されている。
日本には再生可能エネルギーを促進する政策がある。
それは、再生可能エネルギーで発電された電力を高い価格で買い取ることで事業者を後押しするものだ。
その中でバイオマス燃料としてパーム油が含まれており、2017 年までに急激に認定企業が増加した。
認定量は 4,600MW に上る。
ここまで急増した理由は、その値段が他国と比較して約 1.8 倍と高いからである。これは愛知ターゲット 3 にある生物多様性に悪影響を与える補助金だと言える。加えて、EU では食物バイオマス燃料を段階的に廃止する方向へ移行している。
Post 2020 を生物多様性維持のために効果的なターゲットにできるか?!IPBES が指摘しているように、地球温暖化を押さえるためのいくつかのアプローチは生物多様性に重大な影響を与えかねない。
土地変換などのダイレクトドライバーに対処して、それを引き起こしている産業や社会の構造を変えるためのフレームワークが切に求められている。
気候変動のためだけでなく生物多様性のために。
文: ウータン・森と生活を考える会 ゆっこ