喜多地区パーム油火力発電所立地計画説明資料 NOX排出量について

舞鶴市 市民文化環境部長 様

喜多地区パーム油火力発電所立地計画説明資料 NOX排出量について

 環境調査会社の方に説明資料を見せると「東名高速道路沿い以上の状況ですね。」との発言に詳しく調べました。

 本発電所が1時間当たり排出するNOXは240立方メートル(240㎥/h)説明資料より1㎥当たりの窒素酸化物の重さは(0℃の時 NO=1.34kg NO2=1.449kg、窒素酸化物の多くの成分がNO2なので平均して1.4kgとすると)

大型トラックが1kmを時速40kmで走行するのにNOX4.4gを排出する。 
※1(国土交通省 関東整備局の平成17年度のデータ、現在は触媒措置の進化によりもっと少ないとのこと。詳細はNISSANディーゼルに問合わせ中)

   240㎥×1.4㎏ = 336㎏ = 336000g
      336000g ÷ 4.4g = 76,384(台)

 気体はシャルルの法則により1℃上昇するごとに273分の1体積が増るが、日立造船の資料では0℃の場合の排出量(体積)であるため、上記の計算式は成り立つ。

 仮に国交省の大型トラックの排出量計算が20℃であったとしても、上記の式に273分の253をかければ成り立つ。(差は僅かで大きな違いはない ×92,7%)

 これは、例えば発電所の北側のガソリンスタンド(飯野)から下福井にかけての1Kⅿの距離大型トラックが時速40Kⅿ/hの速度1時間に76、384台通過する計算。これが24時間、365日続きます。1日で183万台以上通過することになる。

 この量のNOXが高さ17mの煙突から24時間、365日排出される。

 説明資料にある1時間当たりのNOX排出量が240㎥N/hと示されても、どれだけ環境に影響するのか、多くの方にイメージできませんので解りやすく計算しました。 これならだれでも、イメージできるのではないでしょうか。
市長様に報告いただくとともに、6月定例議会で説明頂ければ幸いです。  

                   喜多地区環境保全委員会 大西 寛治

                                     

備考

 ※ 国土交通省関東整備局21年3月資料参照

大型車1台のNOx排出量 「1㎞走行当り時速40㎞/hでのNOX排出量は 4.40gとした。」

出典:H17年度道路政策評価通達集

https://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/kikaku/jigyohyoka/pdf/h20/04siryo/siryo1-10.pdf

低周波音の問題について

パーム油火力発電社は、燃料にパーム油を燃やしてヂィーゼルエンジンを使って発電する方式です。
従ってヂィーゼルエンジンの特徴を逃れることが出来ません。
ヂィーゼルエンジンの特徴を以下に長所と短所をあげると、

長所

  • 燃料消費量の少なさ
  • 低速トルクの太さ
  • CO2排出量の少なさ

短所

  • エンジン重量の増大  高い燃焼エネルギーを内部で発生させるため、エンジン本体はそれに耐えるために頑丈にする必要がある
  • 排気ガス処理装置の必要さ
  • エンジン振動と音の悪化低周波音が出やすいと言われている
  • • NoxやPMが出やすい 燃焼室内が窒素過多であるため窒素酸化物が発生しやすく、拡散燃焼なので均一燃焼が難しく、黒煙や粒状物質 (PM) が発生しやすい。

 この中で一番問題なのはNoxなどの大気質だとは思うが、ここでは低周波音についてまとめてみる。

環境省では、音として通常聞こえる空気振動のうち、周波数20Hz〜100Hzの低い周波数の音と、音としては通常聞こえない20Hz以下の空気振動を、まとめて「低周波音」と呼んでいる。(20Hz以下の空気振動を指す場合は、「超低周波音」と呼んでいる)

 低周波音の影響は、心身に係る影響として不快感、圧迫感、不眠等があり、物的影響として窓ガラス等建具が振動し、ガタガタと音を立てる現象がある。
低周波音が窓等の建具を振動させることにより発生します。低周波騒音の被害の最も代表的なものは、「何となく寝られない」「寝ていても起きてしまう」「圧迫感を感じる」といったものが代表的だと言われています。
また、長い間低周波騒音に晒されていると頭痛や手足のしびれなどの症状を発症することも少なくないようです。

低周波音に関しては普通騒音の受忍限度のように明確な基準値はありません。しかし、低周波音の一つの基準値として環境省から「参照値」が示されている。参照値は大きく分けて物的苦情に関する参照値と心身に係る苦情に関する参照値の二種類に分けられています。 

上の図は、低周波音の閾値(感じだす境界の値)を示したものですが、人間による感じ方と物の感じ方はことなり、低周波音は人間の耳には聞こえにくく、高周波数になるほど可聴域に近づくため、周波数が高まるほど小さな音で感じるが、物は周波数が小さいほど小さな閾値となっています。
周波数により感じ方が違うのです。
ところが、舞鶴市などバイオマス発電の事業者側は、低周波音の規制基準値として100㏈以下とし、予測したところ西側の敷地境界で75㏈、東側の敷地境界で78㏈だから問題ないと説明しています。
その根拠としてISO-7196 では、G特性音圧レベルで約 100dB を超えると超低周波音を感じると記されているとしています。
調べますとISO―7196は20Hz以下の超低周波音について規定したもののようです。
事業者側に、「人の感じ方は周波数によって異なり、環境省の手引書の参照値をもとに決めるべきでは?それでいけば今の予測値でも超えている。」と質しますと、「環境省の手引書が間違っている。
環境省から別途に文書が出ており、『参照値は、低周波音についての、環境アセスメントの環境目標値 作業環境のガイドラインとして策定したものではない』となっており、それを使うべきではない」と答えました。
しかし、同文書に「参照値は固定発生源から発生する低周波音について苦情の申し立てが発生した際に、低周波によるものかの目安について示したもの」となっており、環境を守る立場からは当然に環境省の手引書を基準とすべきであると考えます。100㏈の規制値なんてとんでもない値であると思います。  
文責 齋藤裕靖)